『MOTHER マザー』

当たり前の幸せに、人は気付けない。だからこそ、日々の幸せだと感じた事を決して忘れぬように過ごしていかないといけないんだと思う。

ろくに仕事もせず、男にだらしない母親のもとで育った少年。妹も生まれ、一家で色々な場所を転々としながら暗く貧しい生活を送る。狭い世界に閉じ込められ、ゆがんだ愛に囚われながら成長した彼は、やがて痛ましい罪を犯してしまう。

朝昼晩三食食べられている事。水を飲みたい時に飲める事。殴られない事。大学に行ける事。バイトが出来る事。家がある事。本が読める事。友達が居る事。全てが当たり前ではなく幸せな事なんだと改めて実感した。本当に私は母さんと父さんの子供で良かったと、思った。傍からみたらどんなに酷い親でも、子にとって親が全てなのだと。子供は親を選べない。何故人は誰かに、何かに依存してしまうのだろうか。共依存って怖いけど、当事者からしたらその世界が全て。自分がもし周平なら同じ道進んでたやろうし、どんなことあっても母についていくしかなかっただろう。他の道を知らないし、進み方も分からない。将来の仕事も何があるのか分からない。
知識や物事を知る事がいかに大切か、周りに
助けてくれる大人が居るか。居ないかの違い
で人生が変わる。無性の愛という言葉は、親から子に対するもので語られることが多いが、それは万人に当てはまるものではない。
ただ、子から親に対する無性の愛は、万人にある。どんな親でも、愛する。愛してしまう。そんな物語だった。自分には関係の無いと割り切ってしまうのではなく、どのように向き合うべきか。向き合っていかなくてはいけないのかしっかり考える必要があると感じた。いかに今の自分が幸せなのか。

子どもを遺棄すること、健康状態を損なうほどの不適切な養育、あるいは子どもの危険について重 大な不注意を犯すこと、をネグレクトといいます。 栄養不良、極端な不潔、怠慢ないし拒否による病気 の発生、学校に登校させないなどがあります。 ネグレクトは決して軽い虐待ではない。

あたしの事好きじゃないでしょ。だからお金
だけ頂戴よ。お金は一切出さないから。ガキに手出しちゃだめでしょ。お父さんかどうかは僕が決める。無理しないで親と居るのが一番。子供使って、頭おかしいんじゃないの。縁切るから。家にも来ないで。そんな子に育てた覚えはない。親子の縁切るから。金も無いのに子供バンバン作って、馬鹿じゃないの。お子さんはこちらで保護する事になりますよ。学校なんか絶対いじめられるからね。将来とか、ほら、夢。こんな仕事したいとか。分かんないっす。
周りにいい人が居て、生きられてる。大人に
なるって楽しいよ。色んな事知れて。勉強しねぇと。学校行きたいんだけど。仕事中に倒れられたら大丈夫じゃねぇんだよ。親だったら、この子らの為に働けよ。飯作って20になるまで面倒見ろよ。それが親だろうが。私があいつがどう育てても親の勝手じゃないですか。ふゆかには俺みたいになって欲しく無いんで。なんで全部背負ったの。１２年て、長すぎるよ。もう、外に戻りたくないんですよね。ご飯だって食べれるし。本読めるし。お母さん好きなんです。どうすれば良かったんですかね。一人じゃ生きていけないですよお母さん。全部自分がやったって、嘘は駄目でしょ。全部駄目ですよ。生まれてきてからずっと。お母さんが好きなのも駄目なんですかね。貴方は育てられないでしょ。周平くん、貴方の事が好きだって。今も好きだって。