YUKIMOVIE

【Blog】独自の評価基準で映画を紹介!

『ちひろさん』

貴方の名前は何ですか。その名前は、本当の名前ですか。

元風俗嬢であることを隠そうとせず、海辺の小さな街にある弁当屋でひょうひょうと働く女性。それぞれの孤独を抱えた人たちが、彼女のもとに引き寄せられるように集まり癒やされていく。

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この映画を観ていると時間がゆったり流れるような錯覚に陥った。私はちひろさんのような人にはまだ出逢っていない。そこら辺に居そうで居ない。掴み所の無くどこか寂しそうにしている。世間のしがらみや何かに囚われ疲れてしまって一息つきたい人に観てほしい。そんな映画です。この映画を観て先輩に美味しそうに食べるね。や友達に美味しそうに食べる人は素敵だよ。と言われ嬉しかった事を思い出しました。

 

 

⚠ネタバレ⚠

気付んだよね。人の心を独り占めする事は出来ないって。
僕たちは皆、人間っていう箱に入った宇宙人なんだって。きっとどこかに居ますよね。

同じ星の人。息苦しいね。愚痴も弱音も吐けない世界なんて。暫く沈んどけ。人の身体は浮くように出来てっから。大人の責任は、見続ける事じゃないでしょうか。ずっと見守るという事じゃないでしょうか。
来る者拒まず去る者追わず。人を見る目が無いのよね。いつでも愚痴りに来てよ。お弁当屋で働きたくなったら相談乗るし。大人ナメんなよ。おーい、頂きますは?誰に刺されたの?私の事好きすぎた人かな〜 謝る時はちゃんと相手の目を見て言いなさい。あの何も聞かないんですか?何を聞くの?何か聞いて欲しかった?どんな人か分からないと不安じゃないですか?そんなのアテにした事ないもん。
第一、それが本当の事か分かんないし。風俗嬢ってそういう仕事だしね。その人の目を見れば
どんな人か分かるよ。でも本当に、貴方の事
嫌いじゃないよ。どっかでみた感じの詰め合わせになってない?目が見えなくても出来る事
あるかしら。だから私が戻る場所はもう無いかもな。変な子だけど面白い子なんだって。
よくここに来てるホームレスのおじさん。師匠かぁ、ピッタリだね。狙った獲物は逃さない。
しがらみもなくなった。皆で食べた方が美味しいってよく言うけどさ、皆で食べても美味しくないものはあるし、一人で食べても美味しいもんは美味しいよ。僕たちは皆、人間っていう箱に入った宇宙人なんだ。皆やってきた星がバラバラなんだからわかり合えないのは当然なんだよ。家族でも?恋人でも、友達でも?そもそも別の星の人なんだから。そう考えた方が楽じゃない?でも世界の何処かには居ますよね。同じ星の人。会えますよね。葬式には来る?辞めとく。貴方は野良猫に餌やってるみたいな気持ちでしょうけど。確かに配慮が足りませんでした。
お前には家族より大切な約束があるのか。
何処にもどうぞ。好きに座って。しょっちゅう親に家から追い出されてて。
漫画仲間。良かったらどれでもどうぞ。そうだねって言ってくれて、それだけで良かったんだけどな。怖くないよ。夜はあたし達の味方だからね。どんな空気?なんか変だった?
人殺しなんすか。バレた?キレそうになったらこれ見て、自分を落ち着かせてる。自分より弱い人間に何言っても良い、何しても良いって奴見ると、どうしても許せなくて。
ちひろさん見てたら人生なんとかなるっしょ。って気になる。なんでも受け入れてくれそうな、飄々とした方。同情っすか。私そんな優しい人間じゃないよ。本気で死のうと思った事あります?あるよ。何で?いや、なんでもないっす。あんたが死ぬくらいなら殺せば良い。その時は埋めるの手伝ってくれますか?勿論、ラーメン一杯で良いよ。あんたはさ、誰かと恋しないの?なんか妙に執着が無いっていうか。独占したいとか。あったよ、昔は。気づいたんだよね。人の心を独り占めする事は出来ないって。もしね、それが恋愛っていうなら私には必要ないかなぁ。呑み過ぎたら苦しくなるし、下手したら死んじゃう。だったら、無理して呑まなくて良くない?まぁ居るんだね~そんな人もくらいに思ってくれたら良い。私べっちんが居なかったらこの学校で溺れ死んでたかも。なんでそんな強いの?強かねーよ、だから不登校だったんだし。人にも自分にも期待しないって思ったら少しだけ楽になったんだ。だからちょっと怖いよ。仲良い人出来るの。また一人になった時に寂しくなる。これゴミにしたらあんた一生後悔するよ。どれだけ自分に自信無いんだよ。あの子の事なんも分かってないの?他人も家族も無いんだよ。もっと見てやんなよ。ジタバタするから沈むんだって。おーい、死んでますかぁ?
生きてますかぁ? 男女の間には恋愛しかないの?あんたがそうでも、向こうは分かんないじゃない。私の事何にも知らない癖に。掴み所っーもんが全然ないのよ。もし、うちの店のドアをふらっと開けてなかったらこの子はもうこの世に居なかったのかもしれないなって。あの、何も聞かないんですか。どうしてここに来たのかとか。何しに来たとか。
そんなもん必要ないよ。俺は目の前のあんたと話してんだから。自分の名前なんだから、自分で考えなさい。じゃあ、ちひろで。
ありがとね、連れ出してくれて。一つサービスね。嵐の夜って無性に出掛けたくなるの。
わくわくしない?あぁ、この人は私と同じ星の人なんだって思えた。人生で二人目だったの。その一人目が、ちひろさん。お母さんが死んだんだ。でも何も思わなかった。悲しいも、悔しいも、寂しいも。何にも無いんだよね。もしたえちゃんがお母さんだったら、私はどんな大人になってたかな。今より素敵な人にはなって無いんじゃない。
今の貴方がとっても好きよ。綾ちゃんとちひろちゃん、どっちで呼んだらいいんだ?
もういいんじゃない?何処にも行かなくても。貴方なら何処にいたって孤独を手放さずに居られるわ。栗を剥く楽しみが減るのは寂しいわ。地味で大変な作業を楽しいって言えるんだって惚れ直した。ありがとね。俺なんかと知り合ってくれて。ちひろさんにした決め手って何だったの?あんなに美味しそうに食べる人が悪い人な訳ないって、そう思ったんだ。仕事覚えんの早いからさ。ここ来る前は何やってたの?ただのお弁当屋さんです。